

踊る、踊る。<前編>
みなさん、お久しぶりです。2022年もよろしくお願いします。前回からまたしばらく時間が経ち、ボヤけていた世界の輪郭はすこしずつはっきりしてきましたね。僕たちはボヤけていた輪郭がはっきりしたことで、「大丈夫」だって思ってしまうんでしょうが、輪郭は始まりにすぎません。中の部分がはっきり見えるようになるのは、少なくともまだ数年はかかるんだと思います。今日はだから、僕の輪郭を少し書いてみようと思いました。最近...

世界の渦の真ん中で、ボヤけた外側の世界をみるために僕らは。
皆さん、大変ご無沙汰しています。アシザワリオです。 気が付けば春が終わり、口をただぽかんと開けているわけでもなかったのに、夏が過ぎ去って行きました。 インディアンサマーと呼ばれる夏の残香も足早に姿を消し、イギリスでは天気が良くても最高気温は20度程度に落ち着いています。 そして、公園の木々も少しずつ、少しずつ黄色くなってきています。秋がやってきました。 僕はというと数か月前から始まったドラマの撮影...


青い空と大きな時計、雹
ルドヴィックには、ことある度にいつも思い出す断片的な光景がある。一つの断片的な光景は、その次の光景を思い出すきっかけになり、一つの物語として反芻される、成り立ちの物語だ。 椅子に座り、目をつぶり意識を集中するといつもまず最初にあの音を思い出す。その音に集中しだすと、雨が窓をうつ音が、少しずつ少しずつ小さくなる。冷たい廊下に響き渡る自分の微かな足音が耳を触り始める。そして、すぐ後に羊皮紙を勢いよ...